シロクマあいすの日記

シロクマあいすの思いつきを書いたものです。

書評

ちょい古漫画の再読。青野春秋『100万円の女たち』

全4巻。裏表紙には「異色のミステリー✕ラブコメディー」とありますが、ラブコメ要素はないです。くすぐり程度はありますけど。 売れない小説家のもとに、5人の女達が訪ねてきて同居を始め、月に100万円の家賃を払っていく。どうして? という導入は非常に魅…

道造『彼女でもない女の子が深夜二時に炒飯作りにくる話』感想

いわゆるラブコメで、男主人公が女主人公にもてる話だ。コメディ色が強く、というよりははっきりとギャグでしかない。 タイトルのままで深夜二時に男性の自宅に押しかけるヤンデレヒロイン。 暴力大好き、風紀を乱すほどの巨乳の風紀委員長。 ケバいミニスカ…

大滝瓶太『その謎を解いてはいけない』がスゴかった件

初めにタイトルを見たときは当然、ミステリだと思った。それも、ホラー寄り。 中身をパラパラと確認すると、「ん? コメディ」。 全五話(四・五話は前後編)の短編集だが、第一話「蛇怨館の殺人」を読んだ感想、「完全にギャグ」。そう、コメディでさえない…

孫沁文『厳冬之棺』感想

現代中国の本格ミステリは初めて読んだが、結論から言えば、面白かった。 秘密めいた富豪の一族。連続して起きる不可解な殺人。密室とそのトリック。変人名探偵。ラブロマンスやギャグ。意外な犯人。オカルト。 ディクスン・カーにも匹敵する内容だと思う。 …

あちゅむち『エロティック✕アナボリック』について

実に不思議な漫画だ。 一見、エロがメインの物語に見えるし、実際にヒロインの露出は過剰だ。 でも、全然エロくない。 日本一エロ漫画みたいな身体を持ちたいという変態女子と、実物ではなくその絵を描くことに執着するデブ男子の物語。「ダンベル何キロもて…

藤白圭『意味が分かると震える話』を読んで思ったことは

一話10行ぐらいで、解説とイラスト付きで2ページ。 読みやすい超短編ホラー小説。 で、面白いかと言えば、うん、まあ、読みやすくはあるよ。短いし。 どこかで聞いた(読んだこと)のある小咄集という感じ。 ところで、ふと気がついたんですが、これってAI…

西尾維新原作の『暗号学園のいろは』感想

前作「めだかボックス」に続く、西尾維新の漫画原作です。 正直、西尾維新は長編シリーズの後半がダレる癖があると思っていますけど、「めだかボックス」はもっとも出来のよいシリーズではないでしょうか(シリーズとしてね。シリーズの中でも単発の作品はも…

西尾維新『キドナプキディング』感想

西尾維新は天才で、初めて「クビキリサイクル」で世に出たときは夢中になって読んだが、さすがにすべての作品が傑作というわけにはいかず、最近、ご無沙汰していたが、さすがに初期作品のセカンドシーズンと言うことで、読まない訳には行かなかった。 全シリ…

2022年のマイベスト本

あくまでも、私が2022年に読んだ本という基準です。 漫画部門 新規に購入した作品で、これはというのは少なかったです。 朝倉秋成✕小畑健『ショーハショーテン』①~③・・・お笑い青春物が好きなので。原作者をみても、作画者をみても、つまらなくなる要素は…

あまりにも人工的な。『密室狂乱時代の殺人』感想

鴨崎暖炉『密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック』を読みましたが、面白かった。 前作『密室黄金時代の殺人』と同じく、あり得ない設定ながら、次から次へと起こる密室殺人と、どんどん解決される密室トリック。その数、なんと7つ! どの密室もし…

あの「文豪ガストロノミー」が、『文豪ナツメは料理人が嫌い』となって単行本で帰ってきた!

グランドジャンプに久部緑郎✕松本渚のコンビで「文豪ガストロノミー」が読み切り短編として掲載されたのは去年の5月のこと。 あまりに面白くて推したんですが、その後は梨のつぶて。 と思いきや、いつのまにかWEBコミックに連載されていたようで、ついに…

藤田和日郎『読者ハ読ムナ(笑)』を読んで

藤田和日郎といえば、「うしおととら」や「からくりサーカス」などの30巻超えの漫画を少年サンデーで連発する人気マンガ家ですが、何がスゴいって、彼のアシスタントがことごとくマンガ家デビューをしていることですよね。 どれほど「師匠」として一流なんだ…

馬場翁『蜘蛛ですが、なにか?』感想(1,2巻)

正直、ラノベってここまで来たか! 異世界転生ものですが、主人公が蜘蛛のモンスターに転生するとか、斬新なアイディアは良いです(まあ、『転生したらスライムだった件』はあるけど、アニメにか見ていないので、比較不可)。 とにかく主人公に共感できない…

ちょい古漫画の再読。園田ゆり『あしあと探偵』

アフタヌーンに連載されていた全2巻の漫画ですが、一言で言えば、探偵物。 名探偵がでてくる謎とトリックのミステリではなく、私立探偵が活躍するハードボイルド路線ですが、とにかく主人公の「何考えてんだこいつ」キャラと、相棒の熱血新人キャラがうまく…

汀こるもの『フォークの先、希望の後』について

汀こるものの「THANATOS」シリーズは、第一作の『パラダイス・クローズド』が孤島で連続殺人で密室のせいか、「ミステリ」として見られているが、実際はファンタジー。 金田一少年やコナン君への皮肉のように、事件、事故を問わず、何故か身近で人死が起こる…

田中一行『ジャンケットバンク』と、かってにギャンブル漫画採点(追加あり)

田中一行の『ジャンケットバンク』(既存7巻)が何故か私の生活圏内に売っていない。そりゃあ、すべての漫画を書店におけないのは分かるよ。でも、メジャー誌「ヤングジャンプ」の連載終了作でもない現役連載中の漫画の最新刊が売っていないって、どうなって…

伝奇小説ベスト

『永遠の伝奇小説BEST1000』は、私の愛読書。 今から20年前に学研M文庫から出版されたものですが、テーマ別・作家別にそれぞれの選者がベスト50やベスト10を選び、総数1000作品のおすすめ伝奇小説を挙げているというブックガイド(実際には、選者同士のダブ…

夜光虫『クロウマン』感想

実はちょっとした知り合いの人が描いているので、応援の意味も込めてヤンマガWEBの連載も読んでいるし、単行本も買った。 で、正直な感想。 絵が未熟なのは、新人なので、大目にみるべきだろう。今は絵が上手いので有名な大御所の荒○さんも、素敵な絵を描く…

私の2021年ベスト本

何故、いまさら。・・・忘れていたんですよ。 ちなみに読んだ年が2021年という基準ですので、あしからず。 巻数は、現在の巻数。 厳密な順位はつけていませんが、まあ、なんとなく上から評価の高い順だと思ってください。 漫画部門 松井優征『逃げ上手の若君…

ちょい古漫画の再読。支倉凍砂✕桂明日香『ビリオネアガール』

全3巻。 経済ものラノベ「狼と香辛料」で一躍名をはせた支倉凍砂原作のラブコメです。ヒロインが若くして株で100億円以上の資産を手に入れたという設定が斬新ですね。 お金をどんなに稼いでも心が満たされないヒロイン像も魅力です。 普通、それだけの大金が…

ちょい古漫画の再読。植芝理一『夢使い』

「民俗伝奇」✕「特撮戦隊物」✕「ロリエロ」という異色作。 全6巻を3巻ずつ2話で終わってしまったのがあまりにも惜しい(番外編的な短編はありますけど)。 偏狂的に細かな絵と、ちりばめられたオタクネタ。個性的すぎるキャラクター(酒飲み女子高生やロ…

ちょい古漫画の再読。水上悟志『惑星のさみだれ』

ちょい古漫画といいながら、今年の夏、アニメ化するそうですよ!! 絶対に熱烈なファンが、アニメ会社か放送局の偉い人にいたに違いない。 ストーリーを端的に言えば、地球破壊を魔法使い魔法使いと、その手下「泥人形」。対するは、姫が擁する12人の超能力…

最後の一文の魅力

斉藤美奈子『名作うしろ読みプレミアム』を読んだ。名作の冒頭ならぬラスト一文をまとめて、紹介した本だが、非常に面白い。もちろん、ラスト一文だけではなく、そこにいたるあらすじなども紹介している。ややネタバレになる恐れはあるが。 個人的には、最初…

漫画の分類と面白さ(当たり前ですが、私の場合)

今まで読んだ全作品の中で一番面白い漫画を教えてと言われて漫画を愛する人で、悩まない人はいないでしょうね。 では、「このジャンルで一番面白い漫画は?」と言われたときにも、漫画の多様性は明確なジャンル分けを拒絶するので、やはり回答が難しい。 そ…

ちょい古漫画の再読。つじ要『論理少女』

2011年に完結した全5巻の作品。 一言でいえば、パズル漫画です。謎解きで色々と決める学園を舞台に、黒髪ロングの前髪パッツン眼鏡っ娘生徒会長(盛り過ぎ!!)が、色々とパズルを解いていく物語。 1巻ごとに一話完結だが、ストーリーはあってないようなも…

アガサ・クリスティ『ミス・マープルの名推理 パディントン発4時50分』書評

ハヤカワジュニアミステリ版です。いいですね、これ。 字が大きくて読みやすい(老眼にはGOOD)、イラストで名前の覚えづらい外国人もイメージしやすい、そして原作に忠実に訳されている! でも、やっぱり老婆探偵マープルのキャラデザがどうみても白髪の若…

今までのベストアニメとか、ラノベとか。

ちょっと職場の休憩時間の雑談ででてきたので、改めて考えてみた。 といって、アニメに関してはそれほどディープなファンではないし、あの名作(例えばジブリとか)挙げるのも何なので、詳しい人は知っているけど興味が無いひとは聞いたこともない、レベルで…

ちょい古漫画の再読。近藤るるる『アリョーシャ!』

近藤るるるといえば、割とロリ目のかわいらしい絵柄で、基本、コメディ寄りの格闘漫画(ハイパーあんな)や、ファミ通漫画!?(たかまれ!タカマル)を描く方ですね。 この作品は、ロシアの伝説の暗殺者が、普通の女子高生として過ごすことになったらという…

ちょい古漫画の再読。山田鐘人✕岡﨑河亮『名無しは一体誰でしょう?」

今から5年以上前に終わったこの漫画のタイトルに覚えがある人はほとんどいないでしょうが、原作者の名前に見覚えがある人はいるのでは? そう、最近、ヒットしている「葬送のフルーリン」の原作者ですね。 それはともかく、この作品、個人的にはめちゃくち…

藤田和日郎の『うしおととら』に泣かされる

連載時から読んでいた「うしおととら」を、たぶん10回目ぐらいの再読をしているが、やばいほど、泣けてくる。 少年漫画らしい王道の妖怪アクション漫画なのに。別にお涙ちょうだいストーリーじゃないのに・・・・・・。 特に最後の方の巻は、1巻で最低1回、…