シロクマあいすの日記

シロクマあいすの思いつきを書いたものです。

あまりにも人工的な。『密室狂乱時代の殺人』感想

鴨崎暖炉『密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック』を読みましたが、面白かった。

前作『密室黄金時代の殺人』と同じく、あり得ない設定ながら、次から次へと起こる密室殺人と、どんどん解決される密室トリック。その数、なんと7つ!

どの密室もしっかりとトリックがあって、中には実在しない素材を前提にしていたり、密室殺人をするためだけに作られたような部屋だったりツッコミどころも満載ですが、きちんとあからさまに伏線が張ってあるのでアンフェアさはありません。

すべてのトリックが、前代未聞とはいいませんが、短編や長編一本を支えるだけの質はあります。

あまりにも人工的ながら、総合的に前作よりも密室トリックは良いと思います。トリックによってバラエティに富んでいて、物理トリックから心理トリック、とんでもないバカミストリックまでいいですよね。逆に一つだけだとミステリとして不自然に感じ方かしれませんが、これだけ振り切ると、どんなトリックでも、納得してしまいます。

カードキーの密室が完成度が高くて好き。

今でも人気のあるディクスン・カーだって正直、このぐらい人工的な設定の作品はいくらでもあるんですから。

実はこの作品の魅力は密室トリックだけではありません。

コメディタッチのキャラクターの魅力や、※※トリックに意外な犯人、最後に明かされるロジックの妙とミステリの魅力が存分に詰まった作品です。