今週、読んだ小説や漫画、ほか。
※感想はあったりなかったり。
※漫画の再読は含まず。
ゆうきゆう✕ソウ『マンガで分かる肉体改造ー免疫力アップ編』
葉山透『0能力者ミナト』①②⑦⑧⑨⑩⑪
西尾維新『デリバリールーム』・・・西尾維新の作品で非シリーズ作品の私の評価は、正直高くないのだが、これは面白かった。「妊婦による(死なないけど)デスゲーム」という内容はかなり第一印象は良くないが、それをひっくり返す出来。西尾維新はこの手の「人工的な設定」がよく似合う。
レンタルDVDかNetflixでみたもの。
アニメ『プラネットウイズ』・・・最初からアニメありきなので、当たり前ながらマンガと同じように面白い。悪く言えば、漫画かアニメのどちらかでいいかなと思う。
アニメ『賭ケグルイ』・・・原作に忠実で楽しめました。OPがスタイリッシュ。
アニメ『されど罪人は竜と踊る』・・・アニメの出来は決して悪くないのだが、原作の会話劇や独自の世界設定、独特の文体によるアクションを表現しきれなかったというのが正直なところ。惜しい。
アニメ『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』・・・近未来SF刑事アクションのバディものとしてすごく面白かった。ただ、原作(筒井康隆の40年以上前の小説)の面影は一切なし。「お金の力で事件を解決する刑事」という基本設定も、お金の力と言うよりも、最新科学の力で事件を解決している時点で変わってます。ストーリーも登場人物も設定もまったく原作とかぶらない。原作と同じなのは、基本コンセプトと登場人物の一部の名前だけ。無理に『富豪刑事』にしなくても良かったのでは?
TVでチェックした新作アニメは、結局「美少年探偵団」以外は脱落しました。
水上悟志『最果てのソルテ』の帯コピーに「ハイファンタジー」という言葉があるのをみて、ふと気になりました。
「ハイファンタジー」って何?
辞書的な定義でいけば、
ということらしいです。
「指輪物語」は代表的なハイファンタジーですが、「ハリポタ」は(少なくとも人間界の話は)ハイファンタジーではないわけですね。
ハイファンタジーの方がそうでないものよりも傑作だとか作品として高尚だということはないのですが、それでも、なんとなく語感の響きから「あの作品はハイファンタジーだ」と言われるとなんとなく嬉しくなってしまうものですよね。
『最果てのソルテ』は帯コピーにふさわしく完全なハイファンタジーでしたが、ちょっと気になるのは、最近はやりの「異世界転生」ものはどうなるの?ということ。
ゆるめの定義でいけば、異世界転生ものはハイファンタジーで良いのですが、まあ、中には「設定を完全にオリジナルで作っていないと駄目!」「現実世界が少しでも関わったら駄目!」という意見もあるようです。
でも、それを言ってしまうとあの「十二国記」が駄目ということになるわけですよね。
そこで、考えなければならないのは「異世界」って何?
小説である以上、現実を完璧に写し取れるわけがないので、どんなファンタジー小説も異世界を描いていると言えますし、同時に、「完璧に異世界」を描くなら、日本語や英語などで記述してる時点でアウトになってしまう。オリジナル言語で書くべきだ、となります。
ですから、「ハイファンタジー」とか「異世界」という言葉に込められいるものは、「その世界設定に壮大さ、緻密さ、オリジナルティはあるのか?」ということだと思います。「あの作品はハイファンタジーだ」という言葉には、「あの作品は世界設定が壮大で緻密でオリジナルティある」という意味に取れば、「ハイファンタジー」は褒め言葉になります。
そういった意味で「なろう系異世界転生」が、大部分、「ハイファンタジー」になり得ないのでしょう。
話はすでにぐだぐだですが、ついでにもう少し。
何故、「異世界転生」ものが流行るかといえば、「作品自由度の高いファンタジー」というジャンルを気軽に消費しながら、膨大になりやすい「世界設定、描写」を省略できるということにつきると思います。
「異世界転生」ものを読んだときに「エルフ」とか「ゴブリン」という言葉があっさり出てきても、その詳しい生態を説明しているものは少ないでしょう。それらの生態や特徴を先人のテキストをそのまま流用することで描写を省略できるのです。主人公に「俺が以前、ラノベで読んだのと同じ、典型的なエルフだった」と書けば、そのまま描写完了です。
また、仮に「巨人」を描写するとき、完全なファンタジーなら、「山のように大きな」とか「城よりもでかい」と書かなければいけませんが、そう書いても実際の大きさは想像しづらいですよね。これが異世界転生者を通すことで、「十五階建てのビルぐらいの大きさの」といった描写が可能になるわけです。
最後に、確かに「なろう系異世界転生」ジャンルが不要な描写や設定説明を減らし、気軽で読みやすい作品を量産しやすくした功績は認められるべきでしょう。
反面、オリジナルティを無くし、「ああ、またか」と読者を飽きさせていることはファンタジーを書く上で、気をつけなければいけないのではないでしょうか。
今週、読んだ小説や漫画、ほか。
※感想はあったりなかったり。
※漫画の再読は含まず。
藤ダリオ『絶体絶命ゲーム』③
西澤保彦『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』
白鳥士郎『りゅうおうのおしごと!』・・・将棋✕ロリコンラブコメという作品。展開もキャラクターも設定も王道ではあるが、そこが面白かった。正直、嘗めていて申しわけない。
葉山透『0能力者ミナト』④⑤⑥・・・昔、途中まで読んでいたシリーズを再び読み始めました。怪異を霊能力を使わず知恵で倒すという設定とキャラクターが面白いのですが、基本、短編(長くても1冊完結)で著者の代表作「9S」と比べると、展開が軽くてなんとなく離れていたのですが、改めて読みと面白いですね。
坂戸佐兵衛✕旅井とり『めしばな刑事タチバナ』㊲㊳
遠藤浩輝『愚者の星』①
水上悟志『プラネットウィズ』⑥
19世紀・怪物専門の探偵・不死の生首少女・吸血鬼・人狼・シャーロックホームズ・怪盗ルパン・オペラ座の怪人・対するM教授、カーミラ、クロウリー、そして切り裂きジャック。
ひとつでも物語を支えられる要素をこれでもかとぶち込んだ伝奇ミステリシリーズの4年半ぶりの新作です。
1巻と2巻の間が1年ほどだったのに・・・。2巻のラストが明らかに引きだったのに・・・
そんな読者のフラストレーションもようやく解消。
ガジェットはラノベですが、骨格が本格ミステリという名作です。
特殊能力者同士のアクションシーンもありありで、とにかくキャラ立ちが素晴らしい。
主役の「鳥籠使い」一行も魅力的ですが、押しは<ロイズ>かな。怪物断絶を謳う、超常能力武闘派集団の保険屋さん。かませ犬の評判に負けるな!
そしてそんなガジェットを吹き飛ばすほどのミステリとしての骨格。
「犯人は人狼だから」と何でもありにせずにしっかりと伏線と手がかり、そして言われてみればこれしかないという犯人特定のロジック。
堪能させていただきました。