創作物
まだ五歳の息子と、その父親は決して広くはない部屋の中でかくれんぼをしていた。 隠れる場所などは殆ど無く、いわば戯れのようなかくれんぼだった。 もう寝る時間にはとっくになっていたが、遊び足りない息子のたっての頼みで、ほんの少しだけかくれんぼを…
結婚して以来、僕は必ず妻に起こされて目を覚ます。妻が起こしてくれなかったのは、君を産む前後のしばらくの間と、あの時だけだ。起こし方は妻の機嫌によって怒鳴り声の時もあれば、優しく肩を揺すられるときもあるけれど、この世界に来てからの妻はいつも…
自動車を運転していて思う不満を述べてみますね。 ・横断歩道のすぐ手前を何故か斜めに横切るおじさん。しかも、ゆっくり歩く。横断歩道を渡れや!! ・車道を走る自転車は交通ルール通りですが、追い越そうとしたとたん、何の合図もなくいきなり急に右に曲…
井戸底の 歌い人形 おぞましき 爪下の骨 忌食む土蟲 寂しいと 食いちぎる指 カラカラと わずかに化粧 歌い人形 暗がりに塗り込められた骨肉のボキリボキリと繰り返す音 黒髪とやわき肌もつ幼子の命まさぐる剣と血と肉 亡き妻の小指親指薬指 切り落とされた痛…
今回のC県知事は県民に混乱をもたらした。 10人以上いる候補者のうち、まともな政策を発表したのはわずかひとり。 「C県を夢の国に」 「病気になっても薬は飲むな」 「私の似顔絵を書いたお札を発行する」 「他県の知事と結婚します」 「すべての県民に毎…
とりあえず、いままで書いたものを載せておきます。 ・教室内で誰が最初にこんなことを始めたんだと、問いただしてみたが、全員が首をつっているので、返事はない。 ・真夏の夜中に誰もいない家に帰ると、エアコンがついていないのに、今日もひんやり冷えて…